高校二年。夏。
夏と言ってもまだ5月下旬だが、それでも暑い。凄く暑い。
地球温暖化は伊達じゃないってくらい暑い。


そんな暑い中、微妙な時期に、これまた微妙なテンションで今日、ここ長島高校に転校してきた俺、上尾 栄一。
よくかみおと間違えられるが、実はあがりおと読んだりする。
とまあ初対面に突っ込まれそうな話はどうでもよくて。
こんな微妙な時期に転校生、当然全学年合わせて俺1人。
それ以前に転校生が来た感じはしない。何故わかるかって?勘だよ勘。

ともかく、いきなりの転校生に周囲は当然興味津々だ。
ちらほら隣と会話したり興味無さそうにしていたり。
反応は十人十色、人それぞれ。色々。

そんな風にクラスの雰囲気を感じながら、俺は挨拶。よろしく。当たり障り無いセリフ。
我ながら個性も何も感じない。
そりゃそうだ、俺は至って平凡だ、運動も勉強も顔も何もかも、普通よりはまあ上かなみたいな、個性の無いわけでは無いようなでもあるわけじゃない微妙なライン。

そうだ、俺は微妙だ。

好きだと騒ぐような顔じゃないし、かといって不細工でもない。
イケメン覗くクラスの男子で誰がいいと聞かれたら2位か3位には入るくらいだ。
まだマシかな。そんな男、俺、栄一。


それが急に確実に。
崩れさっていくなんてつゆ知らず。
俺は呑気にクラスに可愛い子がいないか探していたのである。