…。


俺の知らない傷を負っている月姉。


その傷を広げてしまうであろう、俺の想い。




「……それを知って、俺にどうしろ、と…。月姉が悲しむことは、俺…、したくない…。」


それはさっき、間の当たりにしたばかりだし。


「我慢することは、確かに必要よ。でも、それはいい方向にも、悪い方向にもつながる。

義母さんは、娘や息子がそこまで辛い想いをしてまで我慢すること、望んでないとは私は思う。
まぁ、これは月の味方の私の欲目なのかもしれないんだけどね。」




…言葉を失った俺。


雪姉は更なる追い打ちをかける。


「いい?関係を壊すことは、悪いだけではないの。思い切ってやっちゃいなさい。駄目でも、骨は拾ってあげるから。
私達は、もう、子供じゃないんだし。」


強気な雪姉の姿を見て、やっぱりこの人は『姉』、『家族』なんだなと、実感する。