重なる平行線

「大丈夫ですか?…見せてもらった写真、こちらでお預かりしますが、よろしいですね?」

…あぁ、鑑識に回すのか。
「…どぞ、よろしくです」

「この写真を触ったのは鈴原サンだけですね?」

つまり、指紋採取。
今さら気づいたけど、渡貫さんの両手には白い手袋。
写真に自分の指紋がつかないように、ということだろう。

写真についた私以外の指紋が犯人。
あくまで、犯人が指紋を残していたら、の話だけど。
仮定として私が犯人だったならこの指紋採取は意味を為さないと思うけど、私の疑いは本当に晴れた…のかな?

ドラマの世界が今身近に起こっていて。それに違和感を覚えない私は異常なのか、鈍いだけなのか。

…はてさて、
真偽は如何程か。

「はい、まあ。触ったのは私、」
だけです、と言いかけて口を噤んだ。

…あれ?
何か、もう一人いなかった?