重なる平行線


「…そんなの、貴方には関係ない」

思ったよりも、冷たい声が出た。

「……………」

渡貫さんは一瞬だけ怯んだみたいだったが、すぐにいつものにやけ顔に戻り、
「そうですか。それについては触れないでおきます」と言った。


「「………」」

両者、共に沈黙。

店内にはさっきと変わらないメロディが静かに流れている。

…例えるなら。
普段は自分で髪をきっているのだが、思いきって美容室に行ってみたはいいけど、美容師さんが髪を切りながら凄い喋ってたのに、いきなり静かになって逆に落ち着かない…みたいな。

一言で表現するならば、気まずい。

…というのも私の一方的な考えらしく、渡貫さんは優雅に(?)珈琲をおかわりしていた。

…私も頼もうかな。

「先程の写真、」
「んっぐ、ぁい?」
珈琲を飲んでいる途中、唐突に話しかけられた。
噎せかけたけど吐き出さなかったのでセーフ。