「全く…悪趣味な嫌がらせですねぇ」

苦虫を潰したような顔ながらも、唇は嘲笑を形作り、そんな感想を述べられた。

「えぇ…」本当に。

写真を見て出たのは、溜め息と僅かばかりの不愉快。
それ以上の感情は、浮かばない。
ただ不安定で不確かなものが、心に浮かんだ。

「母親は、鈴原綾美は…生きているんでしょうか。」
「目が隠されていますしね…確かなことは言えませんが、死んではいないみたいですね」

「この写真から場所を特定することは可能ですか?」

「難しいです。何より、写っているものが少なすぎます。」

「…」

「誘拐・監禁と見た方がいいですね…。わかるのはコンクリートの床。森に放置されていないだけ、探す箇所が狭まりますよ」

「…」

ズズ、となれた風に珈琲を飲む渡貫刑事。
そこら辺は本物の刑事さんみたいだ。
いや刑事さんなんだけど。

私も珈琲を口に含み、舌の上で転がす。
だんだんとこの苦さにも慣れてきた。

「気になりますか?」
「…え?」