「これがその写真…ですか」

渡貫さんの手には、昨日家に届いた三枚の写真がある。

一枚は、私の父親である鈴原秋人が殺されている最中らしき写真。
肩から出血し、胸にナイフの様なものが突き刺さっており、傷をおさえて踞っている姿を見下ろした写真。目はこちらを見ていて、選んだ形相は憤怒と、恐怖。
この写真が撮られた時はまだ生きていたみたい。

もう一枚は、恐らく絶命したのだろう父親の、見るも無惨な写真。さっきの写真と違うのは、腹が強制手術で開拓され、風通しの良さそうなことになっていること。

私が遺体を発見した時と同じ状態。

この二枚の写真で、鈴原秋人は殺されてから腹を切開された、ということがわかる。
余程の恨みをもたれていたのか、犯人がそれに快楽を覚えただけなのか。


ラスト一枚は、
…母親の、鈴原綾美が写っている。

他の二枚と決定的に違うのは、撮影場所が家ではないところ。

無機質なコンクリートの床で、目隠しをされ、両手を縛られ、猿轡をはめられて、横たわりながらこちらを見ている私の母親。

生きて、…いるのだろうか。