「おまたせー」
部屋に戻ると、
「おーう。サンキューな」
頬杖をついて寝そべる水貴が目と声で出迎えてくれた。

「………」

コップを置きながら、私よりくつろいでないか?とか思ったけど、気にしないことにした。

「あ、そーだ美月」
「何?水貴」

「一通り見たけど、この部屋に監視カメラとかは見えなかったから、安心しな。
つっても、物動かしたり、引き出し空けたりしてないから、確かなことは言えねーけど」

「………。」

監視、カメラ。
…あぁ、渡貫さんが見つけたって言ってた、な。

「時計の裏とかは見たけど、他は弄ってないから…、気に障ったか?」
「……いや、…ありがとう」心から。
「ん。どいたまー」

水貴は何をするでもなく、お茶をごくごくと飲んでいる。

目的は果たした、らしい。

こんだけのことをする為に、学校サボってここまで来たんだ。

呆れるような、
有難いような。

「…何だよ」
「別にー。まぁ適当にくつろいでてよ」
「既にくつろいでるけどな!」
「どや顔で言うことじゃないよそれ」

そんな会話を終えてから、ひょいと本棚へ手を伸ばす水貴。
くつろぐというか、好き勝手に時間を潰すみたいだ。
まぁ、私も好き勝手しよう。
つか、自分の部屋だし。