重なる平行線

面接が終わっての帰り道。

バイトの心得と、たい焼きの作り方を一通り説明してもらってから、[愛で鯛]でたい焼き四匹買って帰っている。

作り方に関しては、明日もう一度教えてくれるらしい。

雇ってもらえた。

それは、多少私の気分を高揚させる。
頑張ろう、と素直に思えるほどに。

商店街を抜けて、家までの帰路をゆったりと歩く。

近くで殺人事件が起きても、何も変わらない街並み。
強いて言えば、井戸端会議で噂になっているぐらいだろうか。
そこに理不尽さは感じない。

むしろ当然だ、とも思っている。
あぁ、小学生とかは集団下校とかになるのかな。
犯人まだ捕まってないし。

たい焼きを手にとって、一口囓る。
うん、美味い。
まいうでおじゃる。

もふもふ咀嚼していたら、
「あ、たい焼きじゃん。もーらいっ」
にゅっと腕が伸びて持っていた紙袋から我が息子(たい焼き)を一匹拉致られた。

「……」
「悪ぃ悪ぃ。今度奢るからさ」
「……いや、何でここに?」
今は学校でお勉強の時間ですよ、
水貴くん?