重なる平行線

「あ」
居酒屋で働いていそうなおっちゃんが現れた!
「山さん!おつかれッス」
あ、山さんっていうんだ。(おっちゃんとしか言わなかった)

「おう。お疲れ。何だ、面接終わったのか」

ダミ声の低い、まさに『おっちゃん』な声を出すこのオジサマは、このたいやき屋〔愛で鯛(めでたい)〕を営む店長さん。
ネーミングが良いと常々思う。

「うす!コイツ合格に」「おし、可愛いから合格!!」
……。
え、えぇええー。
いや、…っていうか面談の意味は?

「嬢ちゃん、いつも買いに来てくれるよな娘だよな。明日からだっけか?わかんねぇことあったら、そこの目付き悪い奴に聞けば良いから。」
「え、は、はい」
「あ…っと。良いんスか、山さん。」
「ん?駄目なのか?」

さも心外、といった感じで長浜先輩を見る山さん。

「確かにちょいとちっこいけど、結構、顔可愛いじゃねぇか。」
えぇえー。

「まぁ…そりゃそう思いましたけど…」長浜先輩がこっちを見てきた。
「上の下」
、とランク付けされた声が聞こえたような。
…褒められたのか?

「や、駄目じゃなくて。話しとかしなくても良いんスか…?」
「ん。おいちゃんのことは山さんでいいからな」

…長浜先輩は。
自己紹介を推奨したんじゃなくて、店長として、バイトにしていいかどうか、軽い面接しないのか?と聞いたんだと思うんだ。

「嬢ちゃんは?」
へ?あ、名前?
「鈴原美月、です。よろしくお願いします!」
「うん。宜しくな嬢ちゃん」

う、受かったのかな?面接…。

ぽん、と頭に大きな掌が乗っけられた。

ふぅ、と長浜先輩は一息ついて。
「じゃ、明日から頑張りな、歓迎するぞ鈴原!!」豪快に微笑まれた。

「…はい!」