重なる平行線

「なはは、まぁそういうことです。刑事やってます、渡貫雄一郎(ワタヌキ ユウイチロウ)と申しますぅ、んふふ」
言いながら、警察手帳を水貴達に見せる渡貫刑事。

軽く気崩したスーツに身を包み、無精髭を生やし、ガッチリとしたいい体格をしている。40は絶対越えてそうだ。

ニヤニヤと目尻を緩めて笑うその顔は、人を油断させやすいだろう。

[食えないタイプ。]
私を事情聴取したのも、このオジサンだった。

「んふふ」と言いつつ「ちょいと失礼しますよぉ」水貴をグイグイ詰め押して、「よいしょいと」私の向かいに座りやがった。「んふふふふ」

………。

「渡貫さん。何でここに居るんですかぁー?」
にっこり笑って嫌味に聞いてみる。

「いえいえぇ、鈴原さんに会う前に、ちょっと飯でも食べようとしたら、あら偶然!鈴原さんがいらっしゃるじゃないですかぁ」
「あはは、良くできた言い訳ですねぇこんちきしょうー」
「にしても鈴原さん、この坊や達にゃぁちゃんと喋ってるじゃあないですかぁ。アタシが聴いても曖昧に答えてたとこまでぇ」

「そりゃぁお年頃ですものー。同年代の子にしか話せない事だってありますしね」

「…なっはっは」
「あっはっは」

隙を絶対与えてはいけない。
こういう人は苦手だ。