「雨、いきなりどしゃ降り過ぎだろ!!」

誰に向けてでもない怒りをぶっはぁ、と大きな息と共に吐き出す。

俺の右手には折り畳み傘が握られている。学校を出る時には既に雨が降っていた。

結局傘を忘れたことに気付いた俺は、事前に用意していた置き傘を使うことで野郎二人で相合い傘、などという醜態は免れたのだが、所詮折り畳み傘。
豪雨からの直撃は回避しきれず、制服は結構濡れてしまった。

「雨が降るってのは聞いてたけど、これは酷いな」

流石の旭も疲れたらしく、濡れた肩をぐったりと落としている。けど、俺のびっしょり制服よりはましだろうが。

「じゃ、俺目当てのもん見に行ってくるから。適当にそこら辺にいてくれ」
「…ぉーぅ…」

スタスタと商品を見に行ってしまった。
その背中を見送ってから、一息吐いて店内を見渡す。

奴のお目当ての物とは、i何とかという音楽プレイヤーのことらしい。