「水貴。昨日会った女の子…。本当にお前の妹、とか姉ちゃんじゃないんだな?」

昨日会った女の子。
…鈴原美月。
「俺も帰って調べてみたよ…。けど、俺と美月の間に血の繋がりは皆無だった」断言できるほどに。


「ふぅん…、ていうか、名前で呼び捨てなのな。」
「何が?」
「鈴原さんのコト。お前、付き合ってる女子にも名字ぐらいでしか呼ばないから、珍しいなぁって。 」
「…あぁ」曖昧に濁しておいた。

「ま、いいや。水貴、帰りに電気屋寄ってもいいか?」
曖昧に濁した俺の空気を読み取ってくれたらしく、話題を変えてくれた。

程よく踏み込み、かといって首を突っ込み過ぎない。
旭のこういうところが俺がコイツの側に居られる理由だろう。
「何か買うものあるのか?」
「おぅ。金貯まったから、ずっと欲しかったやつ買おうと思ってな 時間大丈夫か?」
「ま、俺も暇だし、丁度良いさ」

そう返事をした直後に、授業終了のチャイムが鳴った。


「戻るか」
どちらともなく呟いた。

雲の色が濃くなり、しばらく経てば雨が降りそうな空模様。

屋上を後にして教室へと向かう。
傘、持ってきたかな、と考えながら。