上の方に視線を向ければ、「まーた授業サボってここに居んのか」

人当たりの良さそうな笑顔を浮かべているTHE・優等生(嫌み)が居た。

「…何だ、旭か」
「何だとはなんだよ」

どかっと俺の腰を下ろしてジュースにストローを挿す旭。

「…お前もサボってきたのか?」
「この優等生の俺が、何処かの誰かさんみたいに黙ってサボるわけないだろ?ちゃんと保健室に行ってくるって嘘ついてきたよ」
「…このエセ優等生が」
「正攻法だろ?」

サボる時点で正攻法じゃなくね?

「あ、水貴。いつも気になってたんだけどさー、」
「ぁん?」「ウチの学校の屋上。普段は施錠されて誰も入れない筈だよな」「まぁ、今のご時世、大抵の学校はそうだろうな」
「…何でお前サボる時ここ入れるようになってんの?」

あぁ、それが訊きたかったのか。
「こーいうコト」ズボンのポケットからチャリン、と鍵を出してみせた。

「…水貴、お前まさか職員室から…」
「当たり」ニッと笑ってから上体を起こす。ついでに、職員室じゃなくて事務室だけどな、と訂正を入れる。

「水貴、お前なぁ…。まぁいいわ。それと、もう一つ訊いていいか?」
「んー?説教なら聞かんぞ」

ちげーよ、と苦笑してから神妙な表情になる旭。

「昨日のこと」
「……」
その話か。