重なる平行線

朝。

設定してある携帯のアラームより先に起床する。
のそのそと制服に着替えながら、
昨日会った私のクローンもどきを思い出す。

別れる時に、あいつは『またな』と言った。またあの店に行けば、水貴に遭えるだろうか。

…会って何をするわけでもないけれど。


ただ、自分と同じ形をした人間と、また会話してみたいと思った。
そう思考を働かせながら、部屋のドアノブを回す―…

      途端、

―嫌な予感がした。

ざわりざわりと、不快な胸騒ぎが襲ってくる。
ドアを開けると、仄かな鉄の匂いが鼻につく。

足が生暖かくぬめった空気に包まれる錯覚。
手と足に力を入れ、リビングへと向かう。

リビングのドアは閉まっており、半透明のガラスからは何も見えない。

一呼吸おいて、ドアを開けた「――…っ」


…そこには