脱力、倦怠、怠惰。

立たない。

立ちたくない。

大丈夫だと思ったから連絡したのに。
時期尚早だったと少し後悔。

静かにドアを閉める音。

考えるのが厭になってくる。

肩を抱いていた力を解放して、床に手がぶら下がった。

リビング。

鈴原秋人が殺害された場所。

どんな思いで殺されたのだろう。
どんな想いで死んでいったのだろう。


壁を媒介として誰かが歩く音が伝わってくる。
足音から察するに、私の部屋に向かったらしい。

探しているんだろうなぁ、私を。

息を潜め、存在を隠す。

このまま床に倒れたかった。

けど座ったままの体制を保つ。
足を投げ出して、だけど上体を起こした姿勢。

自堕落だけど
少しでも、手が高く伸ばせるように。







リビングの扉が開かれた。