耳から携帯電話を離し、画面を見つめる。

節電設定の為、直ぐに暗くなっていく画面が光を放ち、メールを受信したことを教える。

…水貴?

決定ボタンを押せば、メールの送り主が津坂であることを示した。

【件名 津坂です
本文 水貴からバイトを始めたと聞きました。
慣れないこともあるだろうけど、頑張ってね。お疲れさま。】

「……。」

【ありがとう。】

簡潔なメール文を作成、そして送信しもう少し洒落たメールを作れば良かったかと思いつつ、携帯を閉じる。


自分の部屋の天井は窓から差し込む月明かりに照らされ、仄かに白かった。

ごろごろ布団の上で転がり、上手く布団を体に巻きつけて停止。
え?電波少女?
エリオちゃんですねわかります。

「『【お疲れ】』ねぇ…。」

働いた後に労いの言葉をかけられるのは、悪い気がしない。

頬が緩む。

睡魔の重力に逆らわずに力を抜く。

「お疲れ」

瞼を閉じる直前、
返答の無い言葉をほの暗い部屋に投げかけた。


―お疲れ。

明日また、頑張ろう。