重なる平行線

「店長、紅茶の場所ー、」
あれ、聞こえてないみたい。

「店長ー」

歩きながら、再度呼んでみる。
さっきよりも声を大きくしてみた。

店長は鼻歌にお忙しいご様子。

「てんちょー、」

「ん?」
あ、反応した。微かに聞こえたみたいだ。

もう一度、

「てんちょ、 っもぐぁ」


後ろから誰かに口を塞がれた。


「っ!っ!!」
ゴスゴス肘鉄砲を何者かの腹に喰らわせる。

「っごふッ、オイ止め、俺だ俺!!」

「―む、長浜先輩!?何してるんすか!!」

「や、悪ィ。」そう言ってやっと手を離してくれる。

「…で、何後輩の後ろから抱きついてきたんですか、先輩。」
ジト目で少し睨んでみた。
ここで『先輩』、じゃなくて『オジサン』とでも呼べば効果的だったかもしれないけど、本気で落ち込まれそうだったので止めといた。