渡貫刑事はこれに気付いていただろうか。
どちらにせよ、言ったところで『えぇ気付いていましたよォ。寧ろこの程度のもの、アタクシが気付かないわけがないじゃぁないですか。んっふっふ』
とか言う。絶対言う。

…けど私もこれがわかったところで「おい」心当たりもないのだから「おーい」進展は無いに
「おいってば」

「っわぁ」

突如目の前に目付き悪い、じゃなかった切れ長の目のモンスタじゃねぇ兄ちゃんがあらわれた!

…ビビった。

「おい、手は動いてるけど目がイってるぞ」
睨むようにして、長浜先輩が私を覗きこんでいた。
…近い近い。

「へ、あ すみません。」謝罪。
接客中でなくてまだ良かったけど、お金を貰う身として恥ずべき行為をしてもーた。
「魂飛んでるみたいだったぞ。器用だなお前。」
「せめて意識が飛んでいると言ってください…。」

「ま、いいけど」
素っ気なく言いつつも、その言葉の中には気遣うような素振りも含まれている。
…心配してくれたらしい。

「先輩ってツンデレですか?」
「はぁ?」
「いえ何も」
笑ってごまかした。