決勝戦

「バランス重視、か。」

史郎が言う。

「確かにな。

総合学科を抜いた5学科が2人ずつ。

10人か。」

幸大が言う。

「だけどよ、最初の予選のタイムは中間。

1位の俺たちの方が上だろ?」

知也が言う。

「いや、俺達は予選は幸大、沙耶ちゃん、柚葉ちゃんの3人しか戦えなかった。

だが、あっちは確か、全員が戦っていた。


それに、地上戦ではおそらく互角じゃねぇかな。

相手の今までの試合を見るとな。」


史郎が言う。

「そもそも、あっちのチームにいるのは学園で1、2を争う実力者だけで構成されてるわ。」

柚葉が言う。

「それはまずいじゃん!!

実力、人数、どっちも相手に勝ててない…」

奏が言う。

「でも!!

それは私たちが先輩と練習する前の話ですよ?」

水瀬が言う。

「でもよ…」

奏が言う。

「幸大がいる。」

沙耶が呟く。

「奏、お前らしくもないな。

弱気なんて。」

幸大が言う。

「皆!

今ね、係りの人が来て、私たちの紹介をする時の紹介文を一言書いてって。」

結衣が紙を持ってくる。

「紹介文?」

史郎が訊く。

「アレだろ?

ボクシングとかのさ、

『浪花の弁慶〜』

みたいな。」

知也が言う。

「ああ、

『帰ってきたチャンピオン〜』

みたいな。」

史郎が言う。


「『帰ってきたウトラマン』

みたいな?」

奏が言う。

「いや、違うから。」

幸大がツッコミを入れた。

「適当に考えてくれ。」

史郎が言う。

「ああ、結衣に任せとく。」

幸大が言う。