学園祭が近づき、どこのクラスも準備で大忙し。


「…暇だな。」


幸大が言う。

「ああ。」

「まったくだ。」


総合学科の3人は客がいなけりゃ暇なのだ。


「プリクラの機械はセットしたのか?」

幸大が訊く。


「ああ。

教卓の場所にカメラをセットした。


黒板が背景だから黒板に自分で書いたりもできるし黒板を背景にして使うこともできる。

プリンターも動くし、プリクラ用にシール式になってる印刷紙も十分な数用意した。

幸大は?」


「見本は数個作ったし、土も用意した。

火は当日じゃないとダメだし。

知也は?」


「俺もプリクラのデコレーションの仕方はほぼ完璧。


幸大に言われて作ったアクセサリーの下絵や見本は完成済み。」


「「「暇だ」」」

3人がハモる。

「史郎も幸大も何かやつれてないか?」

「当たり前だ。

俺は学園祭の準備が忙しくなるからって結衣に会えてないんだぞ。」


「俺もだ。

気分は砂漠で見つけたオアシスの水が全て蒸発したみたいだ。」


「下手したら死ぬじゃん!!」

知也がツッコミを入れた。


「あら、私がオアシスってことかしら?」

「柚葉!?」

「兄様に会いたくて抜け出して来たの。」

「会いたかったぞ〜。」


ぎゅっ。


幸大が柚葉を抱き締める。


「兄様、あまりここには居られないわ。


クラスの人が探しにくる可能性があるの。」

「二人とも、少し出てくる。」

「ああ。」

「どうせ暇だからな。」