時は過ぎ、夏休み直前


「なぁ、幸大。

何をしてるんだ?」

知也が訊ねる。

昼休み。

いつものメンバーがいつもの場所に集まっていた。

だが、昼食は食べていない。


「夏休みの宿題だ。」


「夏休みは明日からだぞ?」


「夏休みに勉強なんかしてらんないからな!

最終日はのんびり過ごす!

そのためには今やらねばならん!」


「幸大の気合いの入り方が違う!?」

「幸大、こっち終わった?」

奏が訊く。


「ああ。

丸写しじゃなくて所々変えろよ?」


「解ってるって。

ほい。

教科書見たら全部乗ってるから丸写しで良いぜ?」


「サンキュー。」

奏と幸大は宿題を半分ずつ交換する。



「あれ?

柚葉ちゃんしかやってないけど、他の二人と交換しないの?」


「黙ってて。」

柚葉が言う。


「柚葉さんは頭が良いので私たちが一方的に写してます。


沙耶さんも写すのはできますから。」

水瀬が言う。

「へぇ。

って幸大、それ史郎のじゃん。」

「ああ。

ギブアンドテイクだからな。」


「え?」


「オッス、やってるか?」

史郎がやってくる。


「おい、史郎。

何で幸大がお前の宿題を…」


「ああ。

夏休みに海に行くんだがな知り合いの旅館に止めてもらうんだ。

幸大たちもな。

そのための交換条件が宿題だ。」