奏、柚葉ペア


「あれ?

最初の所に戻っちゃったぞ?」

奏が言う。

「…。

他に通路らしき場所は見当たらなかったわ。」

「じゃあ、この通路はハズレか?」


「それか、隠し通路ね。


むしろその可能性の方が高いわ。」


「でも、どこにあんだよ。」

「実は、だいたいの目星はついてるわ。」

「え?」

「歩いてる最中に足音の反響音がおかしい場所があったのよ。

でも、まさか同じ場所に戻ってくるとは思わなかったから言わなかったのだけれど…」

「よし、そこに行こう!!」


「…まぁ、それしかないわね。


でも、奏さん。」

「ん?」

「私より先を歩いてて場所がわかるかしら?」

「うっ…

早く行けよ!!」


「はいはい。」







「ここよ。」

「本当にか?」

「床じゃ解りづらいわね。

試しにこちらの壁を蹴ってから、そこの壁を蹴ってみなさい。」



ガンッ、

「今蹴ったのが普通の壁。」


ガァンッ、

「ホントだ…

何か響く。」

「この先が空洞、つまり部屋になってるのよ。」


「そうか。

じゃあ…」


バゴンッ、


壁をぶち抜いた。


「…こういう時は奏さんは頼もしいわね。」


「へへっ。

お安い御用ってやつだ。」