「嫌いとかの話じゃ…」

水瀬が言いかけた。

スラッ、

先ほどまで姿は見えず、話し声だけだったが、

手に大きな包丁を持った大きな男が現れた。


『そんなに嫌わないでくれないかな。


だってね…グフフ。


君たちも僕のオモチャに。

アンティークになるんだから。』


「狂ってる。」

沙耶が言う。

『狂ってる?

僕が?


ゲヒャヒャヒャヒャ!!』


ダンッ、

壁を叩く。

『どいつもこいつも、同じだねぇ、言うことが。


僕も人間だった時があるんだよ。

その頃、僕は近所の女の子を公園からさらってね。

お家で遊んだんだよ。



女の子は泣き叫ぶからさ…

躾がなってないよね。

だから、女の子が静かにするまで何度も何度も何度も…


そう…黙るまで、殴り続けるんだ。』

「…酷い…」

水瀬が吐き気をもよおす。

『酷いもんか。

僕はただ静かにして欲しかったのに言うことがきけない、だから僕が躾をしてやったんだ。


そして、いっぱい女の子と遊んだんだ。


だけどね…遊んでるうちに女の子は冷たくなっちゃうんだ。


それに、柔らかかった身体が、硬くなっちゃって。』


「それ…死んで…」

水瀬は震えている。