一階

知也、真琴ペア



「こんだけ堂々と歩いてるのに敵に見つからないなんて何かの罠かな?」

知也が言う。

「それか、先ほどの地面が崩れた時に全員が落ちたと思い込んだのかも知れませんよ?」

真琴が言う。




二人がしばらく歩いていると扉が見えてきた。


「…俺が開けるから真琴ちゃんは下がってて。

何か飛んでくるかも知れないし…」

「…はい。」


ガシャンッ、

「…大丈夫、かな?」

知也が言う。


『安心しろ。

この部屋にはトラップなど存在しない。

この部屋に危険なモノはない。』


部屋の真ん中に男が座っていた。

「随分長い刀じゃん。」

男の手に握られた鞘に納まったままの刀を見て知也が言う。


『それもまた安心しろ。

そこの地面に線が彫っているだろ?

それを越えなければ死なない。』

「越えたら?」

『この城の生存者が少なくなるだけだ。』

「遠回しな野郎だな。」

「あの…

ここを通してくれませんか?」

真琴が言う。