「ゲートを開けたままなら敵が来るんじゃないのか?」

史郎が言う。

「だから俺はここにいる。

出てきた奴を即座に仕留めるために。」

摩天楼が言う。

「へっ。

悪いが、お前の仕事はない。」

幸大が言う。

「そうだったらどんなに嬉しいことか。」

摩天楼が言う。


「…。」

「…。」


2人の間に不思議な空気が流れた。


「行くぞ、お前ら。」

「「オオーッ!!」」


「おい。」

摩天楼が言う。

「あ?」

幸大が言う。

「頑張ってこい。

幸大。」


「…ああ、言われなくても。」



幸大たちはゲートを通った。



「あら、何か楽しそうね。」

一人の女性がやってきた。

「何でここにいるんですか?」

「あなたが一人で暇だと思って。」

「学園は?」

「『学園長』がいなくても学園は変わりないわ。」

「他の皆は?」

「いつも通りよ。

皆に言ったら何か言われそうだから黙ってきたもの。」

「…そうか。」


「で、彼らはどうなの?」

「さぁな。

ただ、俺は楽ができそうだ。」


「そう。

不思議よね。


あなたと『同じ名前』を持つ子が人知れずすごいことをやる…なんて。

偶然かしら?」


「偶然だろうな。」