「夏休み明け初日。

久々の学園だからか?」

幸大が言う。

「いや、俺も何かいつもと違う。

そんな気がする。」

史郎が言う。

「幸大の気のせいじゃないのか?」

奏が言う。

「それとも兄様、夏バテ?」

「ウナギでも食べますか、先輩?」


「休みボケ。」

沙耶が呟く。

「しー君も、夏風邪とか?」


「いや…何だろうな?」

「わからんが、何か変だ。」


「オッス!!」

「おはようございます。」

知也と真琴が教室に入ってきた。


「「ああ!!

知也が変なんだ!!」」

幸大と史郎がハモった。


「…俺が?」

知也が言う。


「知也。

夏休みの宿題はやったか?」

幸大が訊く。

「当然だろ?」

「な!?

あの知也が!!

宿題を!!

当然だろ?とか言って!!

平然とやってきてる!?」

史郎が驚く。


「だって真琴と一緒にやったからな。

全部同じだから教えてもらえたし、真琴は教え方がうまくてさ…」


「全部同じ?

史郎…」

「ああ。

やはり知也は知也だ。」

「え?」

「留年システムを使った生徒と普通に留年した生徒。


両方に特別課題があるんだぞ?」


「…マジ?」

知也の顔から余裕が消える。

「確か、お前、机の中に入れてたよな?

夏休みの前日の放課後に担任から受け取った後、教室に戻ってさ。」


史郎が知也の机の中に手を入れた。

「ほら。」

プリントの束…。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

知也が叫びながら宿題を始めた。

「夏休み明けはこれだよな。」

「ああ。」

幸大と史郎が笑う。

「笑ってないで手伝ってくれよ!!」