「おい、知也。史郎。」

「どうした?」

「朝か?」

「囲まれてる。」

「誰に?」

「知らん。

が、人間だ。」


ヴー、ヴー、

「あ、真琴からだ。」

知也が電話に出る。

『知也先輩?』

「どうかした?」

『いえ、沙耶さんが幸大さんと連絡を取りたいって…』

「わかった、

幸大、電話。」

「おう。

もしもし?」


『私。』

「沙耶か?

お前も気づいたか?」

『奏と柚葉がいつでも戦闘を開始できる。』

「…水瀬と結衣は?」

『水瀬はまだ頭が冴えてない。

結衣は武器を持ってない。

どうする?』

「沙耶は?」

『私も杖がないから大きな魔法は使えないけど、人間相手なら十分。』


「そうか。

こっちは…」

「俺はOKだ。」

史郎が言う。

「俺は女性がいないと…」

知也が言う。


「こっちは史郎と俺がいく。

沙耶はテントを守ってくれ。」

『わかった。』

『沙耶、代わってくれ。

もしもし、幸大?』

「奏か?」

『どうしたら良い?』

「お前らは攻撃を仕掛けにきた奴を潰せ。

俺と史郎は討って出る。」

『わかった。』

『もしもし、兄様。』

「どうした?」

『とくに用はないわ。

何となくよ。

それじゃあ。』

通話が終わる。


「よし、行くか。」

幸大と史郎がテントを飛び出す。