「これは、柚葉の興奮を抑えるためのアイテムだ。」

幸大が言う。


「興奮?」

「は、はい。

僕は興奮すると性格が変わるんで…」

柚葉が言う。


「へぇ。

どんな風に?」

知也が訊く。


「柚葉、見せてやったら?」

幸大が言う。

「でも…」

「私もひさしぶりに見たいな。」

奏が言う。

「兄様も、見たいですか?」

柚葉が訊く。


「…まぁ、見たいかな。」


「な、なら。」

カチャッ、


ブレスレットを外し机に置いた。

キィンッ、

目付きが変わる。

大人びた目付き。


「ふぅん。

兄様は私の本当の姿がそんなに見たかったの?」


柚葉の性格が変わる。


「うわっ、大人っぽい…

一人称が僕から私に変わってるし…」

知也が言う。


「って言うか、他の場所で外したことないのか?」

幸大が訊く。


「当たり前じゃない。


私が素顔を見せるのは、兄様の前でだけって決めてるの。」

柚葉が言う。


「そう言われると照れ臭いな。」

「ふふっ。


幸大のさっきの戦う姿もかっこよかったわ。

ねぇ、私とチームを組まない?


2年のうちから留年システムを使っていれば、三年生の修学旅行は私と一緒に行けるわよ?」


留年システムとは

卒業後、異世界に行くためにチームを作る際に、他の学年の者とも組めるように、学園在学中に成績などを無関係に二回だけ留年できるシステム。