『あの男が好きだったのか?』

「…。」

『なのに、これから死ぬお前との最後の会話があれか。

男には同情しちまうなぁ。』

「…。」

『お前には罰として、一番最後に魂を食ってやろう。

両親と友達の魂を食われる姿、じっくりと目に焼き付けろ。』

「そんな…」

ぐんっ、

『見ろ。

これが貴様の両親の魂だ。』

魔族の手のひらには二つの蒼い炎。

『これを食えば、貴様はどんな顔になるのか、楽しみだなぁ!』


「止めて!」

『断る。

貴様に命令されたくないなぁ、友達を売るような奴に。』

「違う!

知也先輩は仲間を見捨てない!!」

『は?

お前に裏切られたんだ。

お前を助けにくると思ったのか?』

「私のことを見捨てても、史郎さんや結衣さんを知也先輩は見捨てない!!」

『そういうことか。

ということは、お前一人が最後に残ったら助けないんだろうなぁ。

お前が好きな男のためについた嘘で、

お前は好きな男の前で俺に殺される。

しかも、その男の目には貴様に対する憎しみ、恨み、怒り、

お前の死を悲しまず、当然の報いと訴える眼差しだけが貴様を見つめる。

はははは!!


小娘、他に言いたいことはあるか?』