学園、教師専用駐車場

「幸大、一番大きな車を持ってる先生から借りてきた。」

奏がやって来た。

「でも、8人乗りなんです。」

水瀬が言う。

「そうか…帰りは9人になるのか。」

「帰りはどうとでもなる!

行こう。

…って、誰か運転できるの?」


「当然よ。

早く乗りなさい。

ああ、もちろん兄様は助手席よ?」

柚葉が運転席に乗りながら言う。

「頼むぞ、柚葉。」

「ええ。

その代わり、兄様、高くつくわよ?」

「後でな。」


「出して良いぜ。」

奏が言う。


車は走り出した。

「でも、先生もよく車を貸してくれたな。」

幸大が言う。

「それは、それは、

先生も泣きながら鍵を渡してくれましたよ?」

水瀬が言う。


「いったい何をしたんだよ…」

「それがですね…

奏さんが先生の机を思いきり叩いてへこまして…

柚葉さんが先生に近寄って、頬っぺたや、胸をツツーッ、と指を這わせて…

極めつけは私が地面に寝転がってその近くに立たせた先生を沙耶さんが後ろから蹴って…

私の上に先生が覆い被さった瞬間にまたまた沙耶さんがストロボカメラでパシャッ、と。

そして出てきた写真を柚葉さんが先生の机に座りながらヒラヒラさせて…


耳元で何かを囁いたら土下座して泣きながら鍵を渡してくれましたよ。」

水瀬の説明に幸大と知也は唖然とした。