RPG学園、学生寮


「朝か。」

一人の少年がベッドから出る。


普通のブレザー式の制服を着る。

「さて、行くか。


…おっと、携帯を忘れるとこだった。」


携帯を取ろうとした彼の右手の甲には星形の模様。


一筆書で書くような星だ。


その星形と頂点を共通とした五角形も手の甲にある。

「ああ、手の甲の『五芒星』を隠すの忘れてたな。」


五芒星とは陰陽道の五行相剋という考え方を現したモノ。

五角形は五行相生という考え方を現したモノ。

少年は右手に短めの包帯を巻き、寮を出た。




RPG学園、総合学科


机の数は3つ。


総合学科は通称『落ちこぼれ学科』と呼ばれる。

秀でた力がなく、どんな力も満足に使えない者の集まる場所。


「おはよう。」

「おーっす。

幸大。」


包帯を巻いた少年は幸大と呼ばれた。


「よう、知也。

早いな。」


「さすがに、二年生になって初めての登校日に遅刻はしねぇって。」


知也と呼ばれた少年が言う。


「あれ?

史郎は?

鞄だけおいてあるけど…」

幸大が訊く。


「あいつは戦士学科の彼女の所に行ったよ。」

「羨ましいな。」

「幸大だって、武闘家学科にいるだろ?」

「あれは友達だ。」

「まぁ、総合学科の俺達は普通は無理だな。

あいつは昔からの彼女だって言ってたからな。」