「…」

海里は静かに玄関の戸をあける。

「遅かったじゃねぇか。」
「………。」

海里は圭太の横を通りすぎた。

「おい海里。」
「…。」

パタン…
海里は部屋に入り静かに戸を閉めた。

「お前なんかあったのか?」
「……。」

圭太の言葉にも反応しない海里。

「……かい…」
「うるさい。」

圭太の言葉を遮って金切り声で海里は叫んだ。
ばんっ…!!
圭太は思いっきり戸を開ける。


「…何泣いてんだよ。」
「…泣いて…ないもん…」

圭太は海里をそっと抱きしめた。

「学校でなんかあったのか?」
「…」
「イジメか?」

海里はコクっと頷いた。