そこに立っていたのは、私と同じクラスの市川くん…?
とても大人しくて、クラスでは全然目立たない。
メガネをかけてて、真面目って感じの男子だ。
何で、市川くんがここに??
「てめぇ、何しに来た?」
矢野が市川くんの前に立ちはだかる。
「おめぇら、えげつないね。」
ポケットに両手を入れて、クスッと笑う市川くん。
「ははははっ!!まさか助けに来たつもりか?」
矢野が大笑いをしても、市川くんは余裕そうな顔。
私はじっと二人を見ていた。
「そいつ、返してくんねぇ?」
市川くんが私を見て、すぐ矢野を見た。
「んなことできねぇなぁ。」
はははと笑う矢野の脇腹に、市川くんの回し蹴りが入った。
「「「「っっ!!!」」」」
そこにいたみんなが驚いた。
「返せ。」
どすのきいた低い声が倉庫に響いた。

