残ってしまった、お菓子を持って帰ろうとしたら、また来た時に食べなよ。と言われ、置いて行く事にした。でも板チョコレートは半分開いていて袋が無いので鞄に入れた。眞奈とは駅で別れた。帰りの自転車は落ちる事は無かった。あぁ…帰りたくない。バイトも、したくない。何の目標も無いのに仕事した所で苛々するだけで何の得も生まれない。見ず知らずの客と言う人間に意味の分からない、いちゃもんを付けられて、とりあえず頭を下げて…。眞奈に言われた事は分かるけれど、高校を卒業してから、ずっとダラダラ。義則ともダラダラ。あぁ、就職したいから商業高校に入ったんだっけ。それも周りに言い訳してダラダラ。こんな私に未来など有るの?眞奈の、お言葉を聞いたばかりなのに私はまたネガティブな想像に支配され、私の周りに暗雲が立ち込めているみたいだ。今にも雨が振り出しそう。空は晴れているのに。あぁ、バイト行きたくない。山下さんに逢いたくない。訳の分からない、客に関わりたくない。ついさっきまで気分が良かったのハズなのに家に近付くにつれて、悲しくて辛くて地面が歪んで両目から涙が溢れて零れた。ぼやけた視界の中に家の目の前に見覚えの有る車が停まっているのが見えた。赤い車。MR-2。目を疑った。義則は坊主頭になっている。私が前に言っていた言葉を覚えていたのか。今更どうでも良いのに何を思って…。義則はどれ位、此処に居たのだろう。それよりも家の親に見られていないだろうか。私を見るなり駆け寄って来る。私は無視して乱暴に家の門を開けた。