舞が私に心を許してくれたと信じて、どうでも良くなってパンに、ありつく。今日は特に喰らいつくペースが早いと我ながら思う。
「やっぱ好かんわ。しかも、いつも以上に疲れた」
「あらひも」
食べる事を止めずに答える。亜紀の行動と休憩時間になるまで山下さんに何度も注意された事に苛々は最高潮。 何で、ちゃんと声出ししないの?新人の亜紀さんだって、頑張ってやってるじゃん。仕事中に言われて亜紀と比較された。子供の頃に親に言われた事を、また思い出してしまった。美羽は出来るのに、どうして美夢は出来ないの?仕事とは言え苦手な事だって有ると思うのは私だけなのだろうか。いや、苦手でも舞と千春は、ちゃんと声出しをしている。私は、やはり逃げているだけなのだろうか。嫌な事が有ると逃げる癖は直っていない事を気付かされる。この鬱蒼とした休憩室でさえ、正に憩いの場所に感じる様になって来た。 あぁ、休憩が終わらないで欲しい。下に降りたくない。
「あの子、山下さんに好かれよーとしてる気がする」
「あたしも同じ事思ってた」