ｲﾏｰｼﾞｮﾝ

「社員…もったいないじゃん。聞いてもいい？何で辞めちゃったの？」
舞は、お腹がいっぱいになったのかﾎﾟﾃﾄを遊ぶ様に、ちびちび食べている。
「仕事が凄いﾊｰﾄﾞでｽﾄﾚｽがﾊﾝﾊﾟ無くて…1年ちょっとで辞めちゃたの」
「そうだったんだ…。でもさ、ｽﾄﾚｽ抱えても1年以上続けるなんて、ﾎﾝﾄ、まじ偉いよ。しかも社員で、ちゃんとやってさ。あたしじゃ多分すぐ投げ出しちゃうもん」
頭の悪い私の脳みそを駆使して持ち合わせている数少ない言葉で、自分の気持ちを伝えた。舞に伝わっただろうか。
「ありがと」
舞は優しく微笑んでくれた。伝わっただろうか。同じ歳で、この街には色んな仕事が有るのに同じﾊﾞｲﾄに入って来て友達になろうと言われて、舞は中華料理屋を辞めてしまったけれど、私は運命的な出逢いを感じる。
「美夢ちゃんｹｰﾀｲとｱﾄﾞﾚｽ教えて？」
ﾀｲﾐﾝｸﾞ良く舞が言うから、また気が合うかもと感じる。
私は、ﾃｰﾌﾞﾙに置いてあった紙ﾅﾌｷﾝに持ち合わせていたﾎﾞｰﾙﾍﾟﾝに書いて手渡した。これから宜しくね、と気持ちを込めて。

私は残りのﾎﾟﾃﾄを食べて、ｺｰﾋｰって何で、こんなに煙草と合うのだろう。舞が居るから一層旨いなぁ。そんな事を感じながら、その後も私達のｶﾞｰﾙｽﾞﾄｰｸは止まらなかった。