義則の事は余り好きでは無い。高校生の時に知り合った。義則の高校は、私が通っている高校の隣の男子校で、朝の通学の時間帯が重なっている事が多くて駅のホームに大体同じ場所で、お互い電車を待っていて、自宅の最寄り駅も同じで顔を合わせる事が多かった。

義則から告白して来た。 実は、私と通学時間を、わざと合わせていたらしい。

中学生の時に、付き合っていた人が居た頃、恋愛話に敏感な思春期だからか、私に彼氏が居る事が、あっと言う間に学年中に知れ渡り、恥ずかしい気持ちになって、周りの目が気になって彼氏と逢ったり話したりする機会が段々減って行って、卒業式を迎えた時には、お互い、さよならも言わずに自然消滅した苦い経験がある。それ以来、恋愛は当分したくないと思っていたけれど、そろそろ寂しくなって来た頃、丁度義則が現れてくれた。
義則と付き合おうと思ったのは、単に処女を捨てたかっただけ。
処女は見事に捨てられたけれど、情が移ったのか、1人が寂しいのか、未だに付き合っている。

義則は別に格好良くない。どちらかと言えば不細工。おまけに18歳なのに髪が薄い。街を歩いていると、義則を見る人は皆笑う。だから一緒に街を歩くのが恥ずかしいから、いつも義則の家で遊んでいる。

同い歳なのに私の方が立が上になっている。お姫様気分になっている。一緒に家に居て私が急に何か欲しくなると、○○を○○で買って来て。と、私は同行せず、義則は文句も言わず、原チャリを飛ばして買いに行ってくれる。何故って一緒に外に出るのが恥ずかしいから。
義則は私の言う事を何でも聞いてくれる。私を愛しているからだろうか。私は愛していないのに気が付いていないのだろうか。