イマージョン

私は、手の甲に落とされた灰を見つめた。山川は私の顔色を期待しているのか、視線を外さない。そしてもう1度、灰を落として来た。何だか火傷をしているみたい。だけど機械までには達していないから別に何とも無い。私がぼんやりしていたら山川は舌打ちをした。ならばと、「灰皿は、こちらでございます」
と両手を差し出した。山川は目を丸くしたけれど、大人気なく煙草を3本吸っている間、私の特製灰皿に灰を全て落とした。何だかじんわり痛いけれど気持ちよい。快感。オルガズムに達してしまいそう。男に抱かれるよりも直ぐにオルガズムしそう。山川は私を睨み付けている。でもビームは出ないでしょう。山川の汚くて仕方ない灰をお絞りで綺麗に拭い、僅かに残っていた焼酎のビンをラッパ呑みしてから「では、失礼します」とテーブルを離れた。事務室に向かい、背中に止めてあった安全ピンをはずして引き出しにしまってから、店長に、体調が悪いから今日の分の、お給料下さいと告げた。安全ピンを外した為ドレスがだらしなく片方の肩が露わになっている。服なんか着ていられない。煩わしい。面倒くさい。服を脱ぎながらフロアに戻り、あっけに取られている多田と、その他大勢を背にして更に服が乱れ、ヌーブラが見えた状態で、
多田と山川に
「おしまい」
とだけ言って、その場を去った。