身体がガサガサザワザワして、うっすらと目を開けると見知らぬ天井が見えた。気を失っていたらしい。何だか身体が冷える。布団をかぶる。はっとした。全裸になっている。陰部に違和感を感じて、そっと触れる。濡れている。私は犯された。隣りでイビキをかいて呑気に眠っている多田に犯された。事が済んだら放置か。陰部位拭いてくれてもいいじゃないか。私は美夢になった目に切り替え思い切り睨みつけた。私の強力なビームに気がついたのか多田は目を覚ました。
「おはよう…。気がついた?」
「…なに?これは」
「我慢出来なくて…。美優ちゃんが可愛くて…。美優ちゃんが気失った時にホテルがあったから仕方無くってゆーか…。ごめん」
「本気で惚れてるなら、こんな事する?普通」
「ほんと…ごめん。でもさ…」
「でも、何?」
「美優ちゃん、感じてたよ」
意識消失の状態の私に対して幾らでも嘘はつける。私は無言で風呂場へ向かった。シャワーの蛇口を、目一杯捻り、泣き声をかき消した。泣くのはどれ位振りだろうか。悲しいのか悔しいのかそれとも自分に生殖器が有る事を忘れていてまた、人間である事を思い知らされて泣いているのか。同時に血と同じで何故、涙が出るのだろうと思った。もう、多田に関しては、どうでもよくなった。利用させてもらう。店には私達の事は絶対口にしない。身体を貸すから必ず毎回、同伴と閉店まで居ろ。と命じた。勿論可愛い美優ちゃんの猫なで声で。多田が断る筈は無い。私は切り替えが早い。
それから私と多田の関係が始まった。