一口、口に入れ戻さない様にビールで流し込んだ。
「旨いか?」
「旨い」
私の言葉を聞いて多田は安心したのか、色々話しているけれど、私は冷や汗が止まらず喉元までピザが上がって来ていて話しに応える事が出来ない。
「美優ちゃん?」
立ち上がって数歩、歩いたら目の前が真っ暗になり、一瞬意識を失いかけて、ベタンと崩れ落ちてしまった。微かに周りがざわついているのが分かる。 多田が直ぐさま私の元に駆け寄った様で私の身体を支えている。今は身体に触られ様が何も感じない。
「大丈夫か?!美優ちゃんマジで病院行った方がいいって。俺が連れてくか…」
「美優!大丈夫か?!」
別のテーブルに居た山川も、知らない間に居る。私を挟んで2人の間に妙な空気が流れている。美優ちゃんを取り囲んで火花でも散っているのだろうか。そんな2人を無視してトイレへ駆け込み、指を突っ込む必要も無く内臓が飛び出すんじゃないのかと思う位の勢いで吐いた。出るのは、いつも液体だけだけれど。もう完全に食べ物を受け付けなくなっている。いいぞ…。もう少しで私は…。タオルで汗を拭き取り身体と顔を直す。食べない方が体調が良いのだ。人間では無いのだから。髪をとかした時にリストカットが止まらない腕が映った。どうして私の身体から血が流れるのだろう。でも吐く事と同じで止められない。私も脆いものだ。しかし、どちらも苦痛が快感に変わる瞬間がたまらない。私は人間で言えばサディスティックだ。ゲーム同様、誰にも迷惑をかけていないのだから別に構わないじゃないか。