ｲﾏｰｼﾞｮﾝ

「何があったの？ずっと心配だったんだよ？ちゃんと話して欲しいよ」
眞奈は、俯いて身体を支える体力も無い様で壁に寄りかかってしまった。
「ゆーすけ…浮気して…人が変わっちゃった」
「…は？ちょっと信じらんないんだけど。あたしが義則と色々あった時、あんなに優しかったし、普段から眞奈と仲良かったじゃん」
「そーだけど…そーだったけど、浮気相手に影響されて変な友達ともﾂﾙむ様になって…なんてゆーのかな…ｷﾞｬﾙ系になっちゃった」
人間って、そんなに簡単に変われるものなの？確かに変われる。私がそうだから。だけれど私は人間を傷つけていないと思う。理由も無しに傷つけていないと思う。今まで関わって来た厄介者は別として。
「ちょっとｹｰﾀｲ貸して」
私は低い声で手を差し出す。
「何で？」
「決まってんでしょ。ゆーすけに電話すんの」
「だめだよ。もぅ、れんらくしてないから…一方的に切られたし、出るﾊｽﾞないもん。眞奈にｷﾓﾁないって事だよ(≧∇≦)
畜生。優介を遠隔操作出来たらどんなに良いだろう。どうしたら、その技を身に付けられるのだろうか。近距離攻撃しか習得していないから、やり方が分からない。いや、でも第三者が入ってしまったら眞奈がもっと傷ついてしまう危険性が高くなる。これ以上、眞奈が傷付くのは見ていたくない。大人しくしている事しか出来ない。やるせなさに無言になっていた。
「眞奈、けいべつされたの」
「ゆーすけに？」
「うん…ｹｲﾚﾝおこして倒れた時、ゆーすけが居て、それ見て障害者みたいって…お互い福祉の勉強してるのに、おかしくない？」
眞奈は目は笑っていない笑い方で力無く笑った。私の人間の機能は更に発達し、こめかみに血管がﾋﾟｸﾋﾟｸと浮き上がるのが分かった。