「北海道かぁー…遠いねぇ…」



そう言った自分の声が、思ったより弱くて、慌てて、

「まあ、でも全然会いに行くけどね!」

と付け足した。




それでも、やっぱりそれは強がりで、本当はちょっと泣きそうだった。




「……寂しくなる、ね」



ぽろりと出た本音。



ああ、言っちゃった。





重いと思われたくなくて、ずっと押し殺して来た言葉。


言っちゃった。





君の瞳が、あたしを捉える。


恥ずかしくて、目を背けた。


真っ黒のコンクリートがなんだか悲しかった。








「……いっそ、北海道にしちゃえば?」



「……え?」


顔を上げる。


「大学。」


「あたし? あたしの大学?」

「うん」


頷く君。



それって、え、つまり、え?



一緒の大学来いと?





どきどきどきどき

耳元で心臓が鳴る。




私は、君の目を見つめたまま、何も言うことが出来なかった。




*それって、それって、どういう意味?*


(そう聞ければ、私は、私たちは一歩踏み出せるのに)