「柚っていうんだけど、一言でいえばくそ真面目」
「はぁ? なに、地味なの?」
「全然。すっげぇモテモテだったし」
「じゃあなに?」
「なんか、なんでも真面目で、時々真面目すぎるくらい。でも…笑顔とか可愛くてさ、一生懸命だから失敗するとすっげぇ落ち込んで、自慢の彼女だよっ!」
「なんか…夏村先生、本当に彼女のこと好きって感じ」
「べた惚れなっ! 陽太、でいいよ」
「うん! あたしのことも、美緒でいいよ」
「りょーかい! さて、じゃあ俺はそろそろ行きますか」
「えー! 飯食って行ってよ、陽ちゃん!」
「そんな迷惑になるわけにはいかねーだろ〜? それに、今日はちゃんと報告に行かないといけないんだ! また今度頼むよっ」
「絶対な!」
「男に二言はない!」
俺はお母さんに挨拶をして、椎名家を出た。
良い家族だなぁ…。
これなら、上手くやって行けそうだ。
前回の最後は酷かったからなぁ…。

