「気づいても、時、すでに遅しですよ」



勝手に部屋に入り込んできた亜季。


俺は彼女を睨んだ。



「睨んでるつもりでしょうが。周りから見れば怖いでしょうが、私には愛しく感じます」



「チッ」



俺は舌打ちをすると、本を読み始めた。




「いい加減に決めませんか?
宰了の家に挨拶をしていただきたいですし」


「ふざけるなよ。
何で婚約もしない奴の家に挨拶しに行かなきゃならない」


「決定事項ですから」




すると、彼女の得意としているであろう笑顔を見せてきた。


俺は笑顔なんかで誘惑されないが。








「家の挨拶と新婚旅行しちゃいましょう?
場所もちょうどロンドンですし」