【陵斗Side】


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「陵斗さま?
深刻な顔をしてどうなさったのですか?」



君がいるからだよ。と素直に言えたらどれほど楽か。



「どうするのですか?
私との婚約は・・・・」



彼女は数ヶ月前にお見合いした女。


宰了(さいりょう)亜季(あき)



「亜季ちゃん。俺は君と、婚約する気ないよ?」



俺より一つ年下の女の子。


大切に育てられたっていうのがよく分かる。


言ってしまえば、箱入り娘。



茶色の髪の毛先がフワフワとしている。



周りの奴らは、彼女を天使とでも言うのだろう。


でも俺は、彼女は悪魔だと思ってる。



亜季は俺の頬に、勝手にキスをすると、にこりと笑って、口を開いた。