タケルの後ろ姿を見ながら、わたしはその時涙が出そうだった。


なぜかはわからないけど。


少し汗ばんだタケルの手は、わたしの知っているタケルの手よりずっと大きくて、温かかった。


ずっとこの時間がつづけばいい。どうか誰にも見られないで。


タケルの手の感触を左手に感じながら、その時はただそう願っていた。