「たぶんあれはね、美咲が待ち伏せして朝比奈が出てくるのを狙ってたっぽいね」


わたしの頭の中は真っ白になった。


携帯のアドレスを知ってしまったのだ。


今頃メールで告白していてもおかしくないじゃないか。


「やばい!どうしよう!」


「大丈夫。見城に聞いてみたんだけど、ここ二日間で朝比奈が告白された様子はないってさ」


なにを根拠にいっているのかはさっぱり謎だが、この時のわたしには梢の言葉が神様からの救いのメッセージに聞こえた。


幸ちゃんがなぜ梢を弓道部の部室に誘ったのかなんてことは、この際一切頭のなかにはなかった。


「どうしよう。どうすればいいかな?」


考えてみれば、この日梢が唐突に「お互いの好きな人暴露しよう」なんて言ったのは、全てこの話をするためだったに違いない。


わたしの気もちなんて、梢にはとっくにお見通しだったんだ。



「まかせて。秘策があるから」


そういって、梢は(これもおそらく計算済みの)ある計画を持ち出した。