それぞれのクラスには、必ず“人気者”って呼ばれる中心人物がいるよね?

その“人気者”を「主役」って呼ぶとしたら、
「主役」以外の人たちは「脇役」なのかな?

…「脇役」、そう聞いたらみんな良い気持ちにはならないよね?


―――でも、私はそうは思わない。

だって、その「脇役」だとしても、その人なりの物語があると思うから。
誰だって自分だけの物語の「主人公」になれるから!



「あははっ!まーたそんなこと言ってんの~?朱梨は~
もーホント面白いってゆーか、ポジティブってゆーか…」
「えー。だって未琴ちゃんもそう思わない?」
「思わない。脇役は脇役っしょ?
まーそういう中心人物がいるおかげでクラスもまとまってるんだし、あたしは自分が“脇役”でも“エキストラ”でも何でもいいわ(笑)。
だいたい“人気者”と“主人公”もだいぶ違うと思うんだけど…」
「んー。そうかなあ?」
「うちのクラスの場合~、やっぱり中心って言ったら、芽吹 架だよね~♪マジでイケメンだしさ~」
「あー、うん。そーだねえ…ははは」

そう、うちのクラス――県立宮凛高等学校2年A組の“人気者”は、芽吹 架(めぶき かける)。バスケ部のエースで、成績は中の上。面倒見が良くて、誰とでもすぐ打ち解けちゃうみたい。男子からも女子からも、先生方にまで、モテっモテの“人気者”。

そして…私、芽吹 朱梨(めぶき しゅり)の実の双子の兄なのです。



「お~い。朱梨~!」

うわっ…。

「わお!噂をすればなんとやらじゃ~ん、朱梨~」
「え?何?おまえらオレの話してたわけ~?(笑)照れるじゃーん」
「もー、架ってばウケる~」
「……未琴ちゃん、行こっ!」
「あ、おい。待てよ、オレお前に用事あるんだって!」
「何?」
「今日さ、バスケ部のやつらと家で飯食いたいんだよね~。
つーわけで、6人分の夕食作っといてくれよ。頼む!」
「え?…」

バっ…バスケ部のみんながっ!?

「…それってさ、基瀬くんも来る?」
「おう。もちろん!」

も、基瀬くんも来るのかあ~
じゃあ作ってあげてもいいかな♪