「うおっ! 花火上がったぞっ!」
――でも。
「うわ! でっけぇな!」
――でも。
「いいぞ、もっと上げろぉ~っ!」
今は、まだ友達として、俺の横で笑ってるアキラ。
でもいつか知ってほしいんだ、俺の気持ち。今日はもう気持ちが溢れすぎてて余裕ないけど、今度は、ちゃんとアキラの目を見て言いたい。
夏休みが終わるまでに、好きだって言いたい。
***
「は? なんでお前いんの?」
俺は今、非常に機嫌が悪いです。
「だって、私もテニス教えて欲しいもん!」
なんでだよ、せっかくアキラと過ごせる時間に、邪魔ものはいらねんだっつの。
「他の子には教えてるじゃない。いつも見てたもん、楽しそうに毎日毎日」
当たり前だろ、アキラは特別なんだよ。
「何で幼馴染の私にはダメなの?!」
「そんなにテニスしたかったらジュニアクラブに入ればいいだろ?」
「違うの、そうじゃないの! アキラに教えてもらいたいの!」
マジでウザ、こいつ。
「おい、木下、帰れよ」
アキラが来ちまうだろうが。
「あ、また! 木下って言った!」
「なんだよ、ったく」
「だって昔はちゃんと亜美って呼んでくれてたじゃない?! なのになんで急に名字に変わってんのよ!」
そんな事、言われても……知らねっつうの。
「いつも教えてる子、南小の男の子でしょ、あんな子、北にはいないもん」
は? 何言ってんだこいつ、アキラは女だっての。でも、こんな奴に説明すんのも面倒くせぇ。
俺は大きくため息を落とした。

