でも、この気持ちは言えない。まだ言えない。だって、俺の事、聞くまでは、言えないんだ…………。




 ――……なぁアキラ……俺の事、女だって知ってるか?






「うおっ! 花火上がったぞっ!」

 でも今は、アキラと楽しく横にいられる時間があるだけで、いいや。

「うわ! でっけぇな!」

「いいぞ、もっと上げろぉ~っ!」

 そう、まだ言わない。

 女だって事も……引っ越す事も。







     ***







 そろそろ夏休みも終盤だな。親父には宿題はやっとけって言われたけど、どうせ転校するんだ、やっても意味ねぇだろ。

 それより、早くアキラに言わなきゃ、引っ越す事。んで、ちゃんと俺の気持ち伝えて、って、その前に女だって言って……そして、これからも、遠く離れるけど友達でいてほしいって、言うんだ。

 だから俺は今日も、アキラのいるテニスコートに行く。

「……っ!」

 なんか、コートの方から話し声が聞こえる。

 今日は珍しく、誰かいるのか?

「誰、だ、あれ」

 アキラと一緒にいる奴を見て、俺の鼓動は速くなった。落ち着け、落ち着くんだ俺の心臓!

 女だ……でもなんか、おかしい、喧嘩してる?

 何だか出て行き難いじゃねぇか……つうか、誰だよそいつ。



――アキラ。